ヒト幹細胞辞典 培養液(化粧品)

ヒト幹細胞培養液とプラセンタの違いは?化粧品としてどちらが優秀?

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ヒト幹細胞培養液とプラセンタ、どちらもコラーゲンなどの美容成分を生み出す細胞を増殖、成長させる働きがあります。

どちらもすごく魅力的ですが、結局どちらを使えば良いのか、どっちも使ったほうが良いのかといった疑問が出てくるのではないでしょうか。

ではこの両者、具体的にどのように違うのか、またどちらがより効果面や安全面、費用面で優秀なのか、詳しく紹介していきたいと思います。

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この記事を書いたのは…

緒方えり

日本化粧品検定1級・美容ライター

1989年生まれ。 大学卒業後は、大手製薬会社の化粧品事業部で5年半勤務。化粧品検定1級を取得。現在はNYで、化粧品の豊富な知識を生かして化粧品関連の執筆や監修を行う。趣味は、アメリカの美容や健康に関する記事を読んで情報を収集すること。

ヒト幹細胞培養液とは?

ヒト幹細胞培養液とは?

最初に、ヒト幹細胞培養液について簡単におさえておきたいと思います。

幹細胞とは

幹細胞は医療の分野でも利用されていますが、ここでは美容に関する内容に絞って説明します。

まず「幹細胞」を簡単に言うと、美肌の源であるコラーゲンヒアルロン酸エラスチンなどを作る「線維芽細胞」なども生み出すことができる細胞です。

幹細胞は、コラーゲンなどの美肌成分が作られにくいなど、肌の老化の原因を自ら再生・修復できるという特徴があります。

これは、コラーゲンなどの美容成分を肌に補って保湿や栄養補給する従来のスキンケアとは大きく違います。

何かというと、幹細胞が自らダメージを再生・修復するという点。

それで美容の世界でも注目されているというわけです。

ただ、自分の幹細胞以外を体内に移植するのはリスクがあるため、他人の幹細胞そのものを移植することはありません

ではどうやって幹細胞が美容に応用されているのでしょうか?

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幹細胞は培養液で利用されている

他人の幹細胞は直接移植することができないため、いわゆる幹細胞コスメには「ヒト幹細胞培養液」が使われています。

正式名称は「ヒト脂肪順化培養液エキス」。

幹細胞培養液は、厳格な検査に合格したドナーから提供を受けた脂肪が使われています。

幹細胞には美肌成分を健やかに育てるための成長因子のタンパク質細胞の増殖や修復に関わる情報を伝達するサイトカインというタンパク質などがたくさん含まれています。

そのため、コラーゲンやヒアルロン酸を肌に補って保湿や栄養補給する従来のスキンケアではなく、肌の老化の原因(コラーゲンなどの美肌成分が作られにくい、不完全になりやすい、分解されやすいなど)に直接アプローチできるスキンケア法として注目されているんです。

細胞レベルで肌の機能を若返らせるので、乾燥にもシワにもシミにも、とにかく年齢とともに気になる悩み全てを改善してくれるというわけです。

そしてこの「培養液」にこそ、成長因子やサイトカインといったタンパク質が200種類以上含まれており、しわやシミ、毛穴の開きやたるみ、そしてくすみなど、年齢とともに気になりやすい肌のトラブルの改善効果が非常に高いと言われています。

さらに詳しく

プラセンタとは?

プラセンタとは?

プラセンタは胎盤から作られたエキスで、美容の分野でも広く用いられています。

プラセンタには種類がある

 

サプリメントや化粧品に使われているものは、

・豚や馬などの動物由来のもの
・海洋性由来のもの
・バラなどの植物由来のもの

があります。

美容への有効性が一番高いプラセンタは?

人間の胎盤から作られた「ヒトプラセンタ」は、動物性や植物性のプラセンタと比較すると、成長因子、サイトカインが豊富に含まれており、美容への有効性が高いと言われています。

そのため、ヒト幹細胞培養液と同様に、年齢とともに気になる、乾燥、シワ、シミなどの改善に効果的と言えます。

そこで、今回はヒト幹細胞培養液とヒトプラセンタを比較していきます。

このヒトプラセンタは、現在日本では医療用でのみ使用が認められている状況です。

ヒト幹細胞培養液とプラセンタの違い

ヒト幹細胞培養液とプラセンタの違い

両者には、美肌成分を作り、増殖させ、修復までしてくれる成長因子やサイトカインが配合されている点で共通していますが、どのような違いがあるのでしょうか。

成分(成長因子)、効果(主に美容面)、製造工程の面でまとめてみたいと思います。

ヒト幹細胞培養液

ヒト幹細胞培養液の成分は以下の通りです。

成分(成長因子)

EGF(表皮細胞成長因子)

・・・ターンオーバーを促進

aFGF(線維芽細胞成長因子)

・・・コラーゲンやヒアルロン酸、エラスチンや活性酸素を分解する酵素がしっかり作られるよう線維芽細胞の働きを促進

bFGF(塩基性線維芽細胞成長因子)

・・・血管、皮膚、筋肉などの細胞に作用
新しく血管が作られたり、拡張されることで肌に必要な栄養が届きやすい状態を作る

KGF/FGF-7(毛母細胞成長因子)

・・・毛髪の成長に関わる毛母細胞に働きかける

VEGF(血管内皮細胞増殖因子)

・・・新しい血管を作るために大きな役割を果たす

TGF-β(トランスフォーミング成長因子)

・・・抗炎症効果

IGF-I(インスリン様成長因子)

・・・破損している細胞の再生をサポート
新しい皮膚も再生し、コラーゲンやエラスチン、ヒアルロン酸の生成を促進

PDGF(血小板由来成長因子)

・・・コラーゲンやヒアルロン酸、エラスチンを生み出している線維芽細胞自体の増殖を促進

HGF(肝細胞増殖因子)

・・・細胞の増殖促進、運動促進、また細胞の維持や正しく形成されるよう誘導
新たに血管を作るなど、組織再生にも関係

効果

ヒト幹細胞培養液の効果についてまとめてみました。

血管の再生による血流アップ

シミ、くすみの改善

保湿、シワの解消や予防

ハリや弾力の再生、たるみや毛穴開きの改善

敏感肌の改善効果

発毛、増毛効果

工程

次に、ヒト幹細胞培養液の工程についてみていきましょう。

step
1
ドナーの厳しい適合検査

まず、厳格な適合検査を繰り返した健康的なドナー(提供者)から脂肪組織を採取します。
その脂肪組織を遠心分離機や酵素反応をさせることで、幹細胞のみを採取します。

step
2
ドナーの経過検査

この幹細胞は冷凍保存しておき、その間、ドナーにウイルス等が潜伏していなかったかどうか経過を観察します。
こうして初めて、培養が行われます。

step
3
医薬品と同様の安全検査

その培養液は、医薬品と同じ基準(GLP)に則った安全検査を確認します。

step
4
生産ロット毎の検査

さらに生産ロット毎に細菌検査やウイルス検査、また品質評価検査などを行います。
全ての安全性をクリアしたものだけが幹細胞培養液として利用されるのです。

プラセンタ

ヒトプラセンタの成分は下記の通り。

成分(成長因子)

HGF(肝細胞増殖因子)

・・・細胞の増殖促進、運動促進、また細胞の維持や正しく形成されるよう誘導
新たに血管を作るなど、組織再生にも関係

NGF(神経細胞増殖因子)

・・・神経細胞の増殖に関与

EGF(表皮細胞成長因子)

・・・ターンオーバーを促進

FGF(線維芽細胞増殖因子)

・・・線維芽細胞の増殖を促進

CSF(コロニー形成刺激因子)

・・・不要な細菌などを掃除してくれるマクロファージなどの幹細胞を促進

IGF(インスリン様成長因子)

・・・破損している細胞の再生をサポート
新しい皮膚も再生し、コラーゲンやエラスチン、ヒアルロン酸の生成を促進

TGF(形質転換増殖長因子)

・・・軟骨や内臓筋の細胞の増殖を促進

ヒト幹細胞培養液とヒトプラセンタ、肌への効果は似ています。

ただ、詳しく見ると、ヒト幹細胞培養液がより血行アップや抗炎症にも直接関わる因子が含まれているのに対しヒトプラセンタは不要な細菌を掃除するマクロファージに働くなど、微妙に異なることがわかります。

効果

ヒトプラセンタの効果についてはどんな違いがあるでしょうか?

血行促進

メラニン色素を抑えてシミ、くすみの改善

保湿を長時間キープ

ハリを改善し

ニキビや赤みを改善、免疫力も高める

抗酸化作用により、老化の進行を抑える

このように、ヒト幹細胞培養液とヒトプラセンタの効果は非常に似ていることがわかります。

工程

ヒトプラセンタの工程をまとめました。

step
1
健康な産婦からのプラセンタ収集

ドナーとなる産婦が、HBV(B型肝炎)、HCV(C型肝炎)、HIV(後天性免疫不完全症候群)等に感染していないかを問診や検査により確認します。
健康が確認された産婦からの満期正常分娩のプラセンタのみを収集します。

step
2
検査項目毎に検査選別

このプラセンタは、工場受け入れ時に、色素・硬度等の検査項目毎に1胎ずつ検査選別します。
その際もまた、HBV、HCV、およびHIVについて核酸増幅法(NAT)によるウイルス検査を実施します。

step
3
滅菌作業

より安全性を高めるため、製造工程で121℃で15分の高圧蒸気滅菌、さらに製造工程の最終段階で121℃、20分間、高圧蒸気滅菌を行います。

step
4
製品試験

製品化されたプラセンタは、HBV、HCB、HIV、HTLV(成人T細胞白血病)、Parvovirus B19(リンゴ病)の5種類のウイルスについて、核酸増幅法(NAT)を使ってウイルスが入っていないか最終確認をします。

*ここでは、京都府向日市にある「耳鼻咽喉科ふるかわクリニック」で使用されているプラセンタの製造過程を紹介

このように、ヒトプラセンタも厳しい検査を経て製剤が作られています。

その一方、人間のプラセンタを直接原料にしているので、感染症のリスクがあると考えられており、一度、ヒトプラセンタを注射したら、献血ができないという制限があります。

ヒト幹細胞培養液とプラセンタのそれぞれの特徴・効果をわかりやすく比較

ヒト幹細胞培養液とプラセンタのそれぞれの特徴・効果をわかりやすく比較

上の項目でそれぞれ見てきましたが、わかりやすく表にまとめて比較していきましょう。

ヒト幹細胞培養液・プラセンタを比較

ヒト幹細胞培養液 ヒトプラセンタ
成分 成長因子、サイトカインを豊富に含む 成長因子、サイトカインを豊富に含む
効果 シワやシミなど年齢によるあらゆる悩みに効果的 シワやシミなど年齢によるあらゆる悩みに効果的
安全性 厳しい検査をクリアしている 厳しい検査をクリアしているが、注射後献血できないなどの制限あり
流通状況 ヒト幹細胞培養液を使った化粧品を購入できる ヒトプラセンタは医薬品のため病院のみで注射できる
価格帯 1,500円(サンプル)〜180,000円* 1アンプル800円〜80,000円、クリニックによって差がある

*楽天で調査した結果(2018年11月20日時点)

ヒト幹細胞培養液の場合、直接人間の幹細胞を使っておらず、「培養」液であるため化粧品にも配合され、基本的に副作用のリスクはありません*。

一方で、ヒトプラセンタ感染症のリスクがあり、そのため病院のみで使用できるようになっています。

費用に関しては幹細胞コスメやプラセンタ注射自体に値段の幅があるので一概には言えませんが、プラセンタ注射も約5回ほど定期的に打たなければならないので、長い目で見ると幹細胞コスメの方がリーズナブルなのかもしれません。

*ヒト幹細胞培養液コスメは医薬品ではなく「化粧品」のため副作用のリスクは基本的にありませんが、中には、化粧品が肌に合わない人がいることは考えられます、全ての人にアレルギーが出ないわけではありません。

ヒト幹細胞培養液・プラセンタのメリットデメリット

ヒト幹細胞培養液・プラセンタのメリットデメリット

違いについては理解できたかと思いますが、いざ選ぶ際のメリットについて詳しく見ていきましょう。

ヒト幹細胞培養液のメリット

化粧品なので気軽に購入して試すことができる

保湿、しわシミ対策など年齢による肌の悩みを網羅的に対策できる

ヒト幹細胞培養液のデメリット

ヒト幹細胞培養液配合の化粧品は安価ではない

化粧品は長期的に使う必要あり

ヒトプラセンタのメリット

病院での注射は医療行為なので即効性がある

保湿、しわシミ対策など年齢による肌の悩みを網羅的に対策できる

ヒトプラセンタのデメリット

病院でしか注射できず、何度か通う必要あり

感染症のリスクがある

最終的に、得られる効果としては共通していますが、大きく異なるところはこちらです。

●ヒト幹細胞培養液は化粧品で取り入れられ、同様の効果を持つヒトプラセンタは病院での注射となる

●ヒト幹細胞培養液は幹細胞自体が入っておらず、安全性も高いのに比べ、ヒトプラセンタは感染症のリスクがあり、一度注射すると献血ができないという制限がある

ヒト幹細胞コスメとプラセンタ化粧品はそれぞれどんな人におすすめ?

ヒト幹細胞コスメとプラセンタ化粧品はそれぞれどんな人におすすめ?

ヒト幹細胞培養液のコスメとヒトプラセンタ注射はそれぞれどういった人におすすめなのかまとめてみました。

ヒト幹細胞培養液コスメがおすすめな人

効果が出るのに時間がかかっても安全性が高い方を選びたい人

今だけでなく将来にわたって若々しい肌をキープしたい人

ヒトプラセンタ注射がおすすめな人

即効性が欲しい人

セルフケアよりプロにお任せしたい人

また、セルフケアとしてヒト幹細胞培養液配合の化粧品を使い、定期的にヒトプラセンタの注射に通うという贅沢な手段もあります。

ぜひ、自分にあったやり方で試してみられてください。

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まとめ

まとめ

いかがでしたでしょうか。

ヒト幹細胞培養液とヒトプラセンタは働きとしては似ていますが、運用のされ方などの違いがあり、どちらが優秀というよりは、個人の好みに合わせて使い分けできるというのが答えになっているのではないかと思います。

ただ、ヒト幹細胞培養液と同様の効果を期待できるのは動物性や海洋性、植物性のプラセンタではなくヒト由来のプラセンタであり、これは医療機関でのみ取り入れることができます。

そこで、化粧品として取り入れられるのはヒト幹細胞培養液となります。

もちろん、ヒトプラセンタ以外の、動物性や海洋性、植物性のプラセンタは化粧品で取り入れることができ、保湿や美白効果も期待できます。

ぜひ、自分にあったケアを見つけてみられてください。

これまでのスキンケアでは満足できなかったという人はぜひヒト幹細胞培養液コスメやヒトプラセンタの注射などにも挑戦してみられてはいかがでしょうか。

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エビデンスサイト

医療用:ヒト幹細胞培養上清液/日本製「Medical Diversity Support」公式HPより

●「細胞美人-究極の美を手に入れるー」宇山恵子著/幻冬舎/2015年

プラセンタ注射療法「湘南茅ヶ崎クリニック」公式HPより

プラセンタ(胎盤)が含む細胞増殖因子「大植医院」公式HPより

プラセンタ-Placenta その生まれ持った力-「耳鼻咽喉科ふるかわクリニック」パンフレットPDFより

プラセンタ注射「戸嶋病院」公式HPより

プラセンタ注射「慈恵クリニック」公式HPより

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