ヒト幹細胞辞典 基礎知識

幹細胞ってどうやって増えるの?新たな細胞を生む分化のメカニズムについて

更新日:

いま再生医療の現場では「幹細胞」を使ったアンチエイジングの研究が進められています。

化粧品などでも幹細胞を応用して使用されているものも登場しているので、聞いたことがある方も多いかもしれません。

この記事では、再生医療や再生美容医療などの分野で研究されている幹細胞がどう増えるのかを、下記の順で紹介していきます。

・そもそも幹細胞とは?
・幹細胞の分化とその仕組み
・どのように分化が起こるか

などを詳しく解説していきたいと思います。

幹細胞とは?

 

幹細胞を簡単に説明すると

骨・血管・肌・血液・心臓・筋肉など、体のいろいろな細胞に成長できる能力をもつ細胞です
引用:「細胞美人-究極の美を手に入れるー」宇山恵子著/幻冬舎/2015年

人間の体は、約60兆個の細胞が集まってできています。

細胞は、遺伝子情報が組み込まれたDNAをコピーし、1個から2個・2個から4個と分裂して増えて行きます。

例えば、肌細胞なら肌細胞と同じ機能をもった細胞をコピーし、作り続けているのです。

一方、幹細胞は体内の傷付いたところへ行き、細胞を新しく補充して、組織を修復&回復させる言わば変幻自在の細胞なのです。

 

さらに詳しく

 

幹細胞はどこから生まれる?

私たちの体は、最初はお母さんのお腹の中で精子と卵子が出会い「受精卵」と言う1つの細胞になります。

受精卵は、遺伝子情報が組み込まれたDNAをそのままコピーし、1~2、2~4、4~8、8~16と分裂前と全く同じ遺伝子を持ちながら細胞分裂を繰り返し、その数を増やしていきます。

細胞分裂を繰り返し増えた細胞は、皮膚になる細胞は皮膚に、筋肉になる細胞は筋肉に見合った形や機能を持つ細胞に変化します。

これを「分化」と言います。

チェック!

【細胞分裂】同じ細胞に分かれること
【分化】他の細胞に変わること

そして細胞は、大きく分けて

・卵子や精子になる「生殖細胞」
・生殖細胞以外の「体細胞」

に分かれます。

体細胞は、さらに骨細胞や心筋細胞と言うように、専門の役割が細かく決まっています。

ですが、他の専門の役割を持つ細胞に分化する細胞もいて、ほとんどの細胞は分化しますが、中には未分化のままの体細胞もいます。

こうした細胞が幹細胞になるのです。

幹細胞が持つ能力とは?

 

幹細胞には下記の通り、2つの大きな能力があります。

【多分化能】皮膚や筋肉と言った、組織や器官をつくる何種類かの細胞に分化できる

【自己複製能】自分と同じ能力を持つ、分化していない細胞を作る

このように、幹細胞は細胞を生み、色々な細胞に分化(=分かれる)できる能力があります。

この能力に注目し、いま再生医療の現場では研究が進められています。

具体的に説明すると、例えば転んでヒザを怪我したとします。
そうすると、ヒザから「助けて~」とSOSの信号がでます。

SOSを受け取った幹細胞が、血流やリンパ流に乗って集まり、それぞれ分裂し血管を新生したり、ヒザの組織を修復してくれるのです。

肌老化にもアプローチする幹細胞

肌も紫外線や乾燥などで、細胞が傷付いている状態です。

その傷付いた細胞に幹細胞を投与することで、傷付いた細胞を修復したり、新しい細胞を作り、肌細胞を若返らせると言うアンチエイジング方が研究されているのです。

このことから、幹細胞は病気や老化にも効果があると考えられています。

さらに詳しく

 

エビデンス文献・サイト

文献名
「幹細胞を利用したインターナショナルアンチエイジング 身近になった再生医療」著:吉田治/徳間書店/2012年/

 

幹細胞は細胞を生み続ける

幹細胞の1番の特徴は、他の種類の細胞を生み出すことができるというころです。

例えば、1つの幹細胞が2つの細胞に細胞分裂したとき

・1つはそのまま幹細胞に
・もう1つは他の細胞に変化

つまり、幹細胞は分裂して自分自身と同じ幹細胞と、他の細胞に変わる細胞を同時に作れる万能細胞なのです。

このように、どんなに他に同じ細胞を作っても、幹細胞は細胞を生み続けるので、幹細胞のタネがなくなることはないのです。

エビデンス文献・サイト

文献名
「幹細胞を利用したインターナショナルアンチエイジング 身近になった再生医療」著:吉田治/徳間書店/2012年/

幹細胞の分化のメカニズム

 

先ほど説明したヒザの怪我ですが、そもそも幹細胞が細胞を作らなくても、ヒザの皮膚細胞が増えれば傷を治すことができますよね?

では、どうしてわざわざ幹細胞がヒザの皮膚細胞を生み出さなければいけないのでしょうか?

それは、幹細胞以外の多くの細胞は分化を終えると新たに他の細胞に分化することはできません。
体の中のほとんどの細胞はすでに分化を終えていて、これ以外には分化することができないのです。

それに対し、幹細胞は未分化なので何度も分裂が可能で、色々な細胞に分化を進めて行くことができるのです。

幹細胞には種類がある

幹細胞には主に

  • 体性幹細胞
  • ES細胞
  • iPS細胞

の3種類があります。

それぞれの特徴を説明したいと思います。

【体性幹細胞】
私たちの体の様々なところに存在する細胞で、神経幹細胞・造血幹細胞・皮膚幹細胞など色々な種類がある。

神経幹細胞なら神経系の細胞に、造血幹細胞なら血液の細胞にと、限定された種類の細胞に分化するものと、皮膚や筋肉と言った、何種類かの細胞に分化できる多分化能の細胞がある。

【ES細胞】
精子と卵子が結びつき、受精して分裂を始めたばかりの胚から内部細胞を取り出して培養して作られる

全身のどの細胞にも分化できて、ほぼ無限とも言えるぐらいに増やすことができる。

【iPS細胞】
人間の皮膚や血液などの体細胞にウィルスを利用して、4種類の遺伝子を導入し培養して作られる。

全身のどの細胞にも分化できて、ほぼ無限とも言えるぐらいに増やすことができる。

このように、幹細胞にはさまざまな種類があるのですね。

 

まとめ

幹細胞の分化と仕組みについて見て頂きましたが、いかがでしたか?

簡単にまとめてみると

・幹細胞は分裂して、自分と同じ幹細胞と、他の細胞に変わる細胞を同時に作り続けて増える。

・幹細胞は未分化なので何度でも分裂が可能で、色々な細胞に分化することができる

と言うことが分かりましたね。

 

ドラえもんに頼らず、細胞レベルで若返りを可能にする時代はすぐそこです・・・

 

ヒト幹細胞とは何かについては下記の記事を参照してください

さらに詳しく

-ヒト幹細胞辞典, 基礎知識
-, , , , , , , , ,

Copyright© ヒトカン , 2018 All Rights Reserved Powered by AFFINGER5.